SSブログ

重要物語@赤坂レッドシアター [エビ中-ライブレポ]

小林歌穂さんが出演された舞台『重要物語』が、昨日の千穐楽公演をもって無事に閉幕を迎えまして、1月26日の開幕から数えて全13公演、まずは完走おめでとうございます!
歌穂ちゃん自身が開幕前に「カロリッシュ」という言葉でもって表現していましたが、セリフをひとつ飛ばしたらほとんどリカバリーが効かないような、支離滅裂だけれども(おそらく)緻密に練り上げられたセリフが過剰に波状に押し寄せるこの舞台を演じきったことに、心からお疲れさまでしたと言いたいですね。

FoR0nZbaEAA_iC4.jpg

会場は赤坂レッドシアター。
4年前、歌穂ちゃんが主演を務めた『また来てマチ子の、愛をもう止めないで』と同じ会場ということで、歌穂ちゃん推しとしてはやはり感慨深いものがありました。
自分が観劇したのは、4公演目、11公演目、12公演目、そして千穐楽の合計4回。
もともと千穐楽はチケット取れなくてほぼ諦めかけていたんですが、いろいろとご縁もあって譲っていただいて、ホントにありがたい限りです。


てなわけで、ネタバレも含めていろいろと感想を綴っていこうと思うんですが、映像化の可能性もあるからまだネタバレ食らいたくない!という方。
安心してください。
おそらくこれ読んでも、なにひとつネタバレにならないと思いますから。
公演期間中の感想を追っていても、「これは何を見せられたんだ?(褒めてる)」的なものが多くて、いやもう、たしかにそう表現するしかないよな、と。
ここから先、なに言ってるか分からないような書き方をしていきますが、そういうもんだと思って読み進めて下さい。

FoLg9biaQAEziww.jpg

パートのシフトを変更してほしい、ただそれだけのことのために、重要そうなことがまるで重要ではないかのように扱われたり、かと思えば、まるで重要ではなさそうなことがあたかも重要であるかのように大騒動を引き起こしたり。
壊れたキッチンの水道、墓石のかけら、鍵のかかったシフト表、紐の秘密、味は美味いが不味いナポリタン、几帳面の几、ロマネコンティ…。
さまざまな伏線が回収されたりされなかったり、回収したと見せかけてそのまま何処かへ放り投げられたり。
とは言え、ただただ荒唐無稽なお話…というわけでもなく、観終わったあとにはとても重要なことが心に残ったような、けっしてそうではないような。
最初の観劇のあと、別ブログの方には「ドーナツの穴を腹いっぱい食わされたような」と感想を書きましたが、その感想が千穐楽を観終えたいまでも揺るがないまま、そんなお芝居でしたね。

FoLiDe4akAAB9Wc.jpg

そんななか、主演の池谷さんを筆頭に、ひと癖もふた癖もある先輩方に囲まれながら、歌穂ちゃんの存在感はけっして引けを取らなかったんじゃないでしょうか。
歌穂ちゃんの演じたメグミは、市ヶ谷の大学に通う大学生。
ハルコ(池谷さん)と同じアポロマート駒沢店でバイトをし、ハルコ行きつけの喫茶店のマスター(大堀さん)の一人娘であり、そしてバイト先の綾瀬店長(加藤さん)とは不倫関係にある…という、オタクとしてはちょっとソワソワする感じ。
ちなみに、綾瀬店長がメグミとの関係を「私は存分に楽しませてもらってます!」と何度も連呼するんですが、そのたびに若干モヤモヤしたというか、殺意が湧いたというか。

そんなメグミの役どころは、ハルコのシフト変更のため、叔父である二郎(吉田さん)を地下牢から脱獄させて代わりにシフトに入ってもらおうと、四国を全部言えないというハンデを背負いながら東奔西走し、最終的には脱獄プロジェクトチームと開放計画委員会をフリー音源の力によって合併させるという…
ね、なに言ってるか分かんないでしょ?
とにかく、起承転結(という概念がこのお芝居に存在したかどうかも怪しいですが)の転から結へと向かうきっかけを作ったキーマンであり、というかそもそも、二郎叔父さんが地下牢に閉じ込められるきっかけを作ったのもメグミだし、なんだかんだこの物語で一番の重要人物なのでは?

FoLhv53agAEKdEa.jpg

そんなメグミ演じる歌穂ちゃんですが、見せ場となる場面もいくつもありまして、まずは前半、ハルコの代わりに号泣するシーン。
舞台上にひとり残ったメグミが、ただただ号泣するだけのシーンで、他の出演者がだれもいないという状況もあって、まさに歌穂ちゃんの独壇場。
とくに4日のマチネ(11公演目)では、号泣に備えてストレッチをしているときにわりと大きめの音で関節がポキポキ鳴ってしまって、その時点で客席もちょっとクスクスしてたもんだから、それでスイッチが入っちゃったのか、自分が見た中では一番クセの強い大号泣っぷりで、大立ち回りを見せてました。
客席の笑い声も、他の公演と比べて一段と大きかったんじゃないかしら。

それにつられて、なのか、この回はそういう感じにしよう、という打ち合わせがあったのか。
マスターがメグミの不倫に対して「それもいい」と言いながらカウンターの電話を弄るシーンもやたらクセが強かったですし、マスターと沢谷常務(TOBIさん)が「せーの、ポン!」と「スリー、ツー、ワン、ジャン!」で言い合うシーンなんかは、お互い思わず吹き出しちゃったぐらい、自分が見たなかではこの公演が一番自由度が高かったような気がします。
そういう自由な演技の求められる空気のなかで、歌穂ちゃん自身も自分の見せ場をしっかり楽しんで演じていたのが、とても頼もしかったですね。

FoLiZHcacAAoIq5.jpg

そしてもうひとつ、やはり個人的なお気に入りとしては、「愛媛県!香川県!高知県!…ん~~」と、徳島県を思い出せないもどかしさを拳に乗せて、媚びへつらう二郎叔父さんに左フックをお見舞いするシーン。
二郎叔父さんから「四国に行ってトクしました、みたいに覚えればいいんじゃないかな」と徳島県の覚え方を伝授してもらい、ひとつ賢くなったメグミが脱獄プロジェクトチームと開放計画委員会の目的が同じだという事実を突き止め、敵対するこの二つの組織を合併することを閃くシーンは、いま思い出しても鳥肌が立つ…なんてことは特になく。
うん、これまた自分でも書いててよく分かんないです。
でもホント、最初から最後まで、歌穂ちゃんの表情筋がとにかく暴れまくってて、いわゆる「顔面の煩い」演技を随所に堪能することができました。

ハルコがリーダーに相応しいか見極める歌穂ちゃん。
マスターと口げんかする歌穂ちゃん。
自分が出した反吐をビニール袋に入れて持ち歩く歌穂ちゃん。
福利厚生を考える歌穂ちゃん。
店長の奥さんの手料理に嫉妬する歌穂ちゃん。
セーラー服姿の歌穂ちゃん。
椅子と柔道の意味が分からない歌穂ちゃん。
ポケモンクイズを仕掛ける歌穂ちゃん。
フリー素材の音源を高々と掲げる歌穂ちゃん。
アメリカ留学を決意する歌穂ちゃん。
ハッピーバースデーを歌う歌穂ちゃん。
まだまだ他にも書ききれないほど、出演していた場面すべてにおいて、その存在感を舞台上で如何なく発揮していたように思います。

FoLimGjaAAQ3Obz.jpg

冒頭でも書いたように、ここまで書いても点と点がまるで線で結べないストーリー。
4回観て、さらに物販で購入した台本もしっかり読んだうえで、それでもいまだに咀嚼したまま飲み込めてない部分がたくさんあるので、上手く説明できないんですよ。
あえて無理やりまとめると、「重要そうな事柄は実はたいして重要ではなく、重要でなさそうな事柄こそが実は重要なんだ」とか、そんな感じかなあ。

物語冒頭の「生きている人間が結局は一番怖い、って話になりますね」というセリフ。
劇中盤でやたら仰々しく2回繰り返された「我々は時の壁を超えることはできないのだ!」というセリフ。
そしてラストシーン、7年前の事件の真犯人であるハルコが自ら地下牢獄へ身を投じ、獄中で呟いた「それがどんな事件だったのかは、さして重要じゃない、そう、これからもずっと」というセリフ。
まるで雲をつかむような数々のセリフの中で、指先にわずかに感触を残していったこの3つの言葉を繋いだときに、ぼんやりとなにかが見えてくるような…
いや、おそらく、それすらも重要なことではないのかもしれないですね。
(と、そういえば4年前の「また来てマチ子」は時の壁を超える物語だったなあ、なんてことを独り言ちてみたり)

FoLhCE6akAABXaO.jpg

というわけで、こんなにも素敵な作品と出会わせてくれた歌穂ちゃんに、そして、歌穂ちゃんがこんなにも素敵な作品に出会えたことに、心から感謝します。
セリフを覚える、それだけでも一筋縄ではいかないようなこの作品と、歌穂ちゃん自身がどう向き合ったのか、歌穂ちゃんのブログがいまから待ち遠しいですね。

主演の池谷さんはじめ、大堀さん、加藤さん、吉田さん、TOBIさん、そして何より、作・演出のブルー&スカイさん、本当に素敵なお芝居をありがとうございました。
歌穂ちゃんがデザインしたTシャツの似顔絵に対するツイッターでのやり取りや、時折流れてくる集合写真の雰囲気を見ても、きっとあたたかくて楽しい座組だったんだろうなあ、というのが伝わってくるようでした。
可能であれば、どこかで稽古の様子だったりを見られないかなあ、なんて贅沢な願望を勝手に抱いております。

FnyYm8SacAE7KIH.jpg

そしてまたいつか、歌穂ちゃんに素敵なお芝居の仕事が訪れますように!



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。